遺品整理で大切な思い出を処分したくない!無理せず残すための工夫とは
ご親族の荷物を整理しながら大切な思い出を振り返り、想いのつまった品々を遺していく遺品整理。前回コラムでは遺品整理経験者へのアンケートをもとに、遺品整理の大変さと課題について考えました。経験者ならではの様々なエピソードは私たちにとっても教訓となることがまだまだあります。そこで今回は、特に大きな課題である「残したい遺品が多いのに現実的に保管できない」という問題を更に掘り下げます。回答者の経験をもとに、理想と現実、そして大切に残すための工夫を探っていきましょう。
遺品整理は故人を思い感謝する時間
「遺品を整理して思い出の詰まったものや懐かしいものを見るたび手が止まってしまって…」
「思い出すと涙が出てなかなか進められなかった」
アンケートで多くの人に共通していた意見でした。
体験談にあった言葉を借りると遺品は「生きた証」。同時に、故人と自分が一緒に過ごした証を見つけることも多いでしょう。故人らしい人柄を偲ばせるエピソードに触れることがあるかもしれません。
“母親との思い出のある品を処分する決心がなかなかつかずに、実家に出向いてはひとつづつ泣きながら遺品を整理していました。母親が亡くなり3年たつのですが、未だに遺品整理が終わっていなく強い意志をもってしても感傷に浸り泣きながら片付けをしています。”
(40代・メイクアップアーティスト)
“ひとつひとつに故人との思い出があるので、右から左へと早々簡単に捨てられなかった”
(50代・主婦)
“父の遺品整理の際なぜか印鑑が数十本出てきてみんなで何につかうのよ~って大笑いした!娘ばかりで今は使える人も限られてるのに・・・。あまり多くはない苗字なので周りにあげる人も親戚もいなかったので結局捨てたかな。”
(40代・専業主婦)
確かに遺品整理は膨大な量で長い時間がかかり、体力的にも精神的にも大変なものです。
しかし何より、旅立ってしまったからこそ尚更愛おしく感じる温もりや優しさを感じながら、故人に感謝する大切な時間でもあるのです。
保管しておきたい大切な遺品
遺品整理で故人のものを確認していく中で、故人が大切にしていたもの、思い出が詰まったもの等、大切に残しておきたい遺品があるという方は多いのではないでしょうか。
実際のところ、アンケートでは68.5%の人が遺品整理の中で捨てられないものがあったと答えました。
回答を分析してみると、次の3つに分類されるものがほとんどを占めていることがわかります。
本人にしか残せずもう生み出せないもの
- 本人の写っている写真・アルバム
- 直筆の筆跡や文章
- 手作りの作品
本人が大切にしていたもの
- 愛用してきた服等の身につけるもの
- いつも使っていたもの
思い出の品
- 家族のイベントや旅行等での記念の品
- 整理者が幼い頃の思い出の品等
そのものを持っておくことで故人を思い出し、近くに感じられる遺品。もう新たに手に入れることができないからこそ、大切に取っておきたいものです。
アンケートでは「遺品整理で捨てられなかったもの」の様々なエピソードがありましたので抜粋してご紹介します。
“両親の子供の頃からのアルバム”
(50代・主婦)“亡くなった人の直筆の手紙等、本人でなければ残せないもの。”
(50代・自営業)“絵手紙やちぎり絵の作品がたくさんありました。古い着物もたくさんあり全ては捨てられませんでした。”
(60代以上・専業主婦)本人が大切にしていたもの
“いつも身につけていた物や気に入っていた洋服などを見ると思い出してしまい捨てられなかったです。”
(60代以上・専業主婦)“故人が着ていた割烹着。思い出があるものは中々捨てるのは難しい。”
(40代・無職)“父は牧師でした。父が使っていた聖書が捨てられません”
(50代・保育士)“”祖父ですが、実際に日中戦争で使用していた旧日本陸軍時代の服やカバンを大切に持っていたので捨てることが出来ませんでした。”
(40代・会社員)思い出の品
“小さい頃に連れて行ったもらった時に使った釣り竿などの思い出のある釣り道具”
(40代・サービス業)“ずっと使っていた物や一緒に買ったものなどの思い出深い物。”
(30代・主婦)“故人が好きだった本や映像作品”
(20代・学生)“旅行先で買った物などの思い出の品”
(20代・製造業)
遺品整理の盲点?整理後の遺品の保管場所
ここからは一転、現実的なお話になります。
「遺品整理」といえば、故人の居住スペース等に入り、そこにあるものを確認して、必要なものと処分するものに分けていく作業を思い浮かべる人が多いでしょう。
もちろん作業自体がメインではありますが「作業が終われば故人のスペースがスッキリ空いて終わり」というわけではありません。必要なものと残したいものが整理後も一定の場所を取り、しかも、故人のスペースから撤去して別の場所で保管するケースが多いと言えます。
これは、特に遺品整理を経験したことのない人には意外と盲点になっていることかもしれません。
遺品の引き取りは整理をした人の自宅がほとんど
アンケートでは、捨てられなかった遺品の保管・対処方法を尋ねてみました。グラフの赤部分全てが(故人と同居の場合を含め)整理をした人の自宅で保管したということになります。しかも「物置・倉庫に保管」の一部以外は自宅の部屋の中にスペースをとり保管したということになります。
現実的には、遺品整理は遺品の保管まで作業者が責任を持ってやるものになっていると言えます。
遺品の保管場所不足は深刻!
あなたの家で想像してみてください。もし仮に親族の遺品整理をしたとして、その遺品を持ち帰って自宅に保管するスペースがありますか。
「遺品を残したい」という気持ちと「自分で保管できる」という状況はまた別問題で、いきなり自宅に遺品の荷物が増えても置く場所がないという方は多いでしょう。それに、アンケートでは「想像していたより捨てられないものが多かった」という意見も頻繁に聞かれました。
では実際、遺品の保管に困った人はどのくらいいるのでしょうか。
アンケートでは捨てられなかった遺品の保管に悩んだ人は38.0%いました。約4割もの人が遺品の保管場所を確保しづらかった状況で、その大部分が「残したいものに対しスペースが少ない」という収納スペースの広さの問題であったようです。
しかも困ったことに「持ち帰ったはいいが整理もせずそのままになっている」という声も多く聞かれました。日常の中で時間が取れなかったり、遺品整理という神経のすり減る大仕事が終わって力が抜けてしまったという方も多いようです。
大切な遺品を処分する場合も
残したい遺品があっても、現実的には全ては保管できず、泣く泣く処分したという声も多く聞かれました。
遺品整理の時には「これはどうしても取っておきたい」「これも故人とのエピソードを思い出す」と、残したいものが増えがちですが、持ち帰ってみると現実的には保管し続けるのが難しいために、本当は残したいものを残せないケースが多々あるという悲しい現実が浮かび上がりました。特に、保管スペースが現実的には取れないというケースが多いようでした。
つまり、大切な遺品を残すためのキーポイントは保管スペースと上手な対処・処分のしかただと言えるでしょう。
“故人の大切にしていた物を処分するのが辛かった。”
(40代・パート)
“捨てたくない物がたくさんあり過ぎて捨てるのが辛かったこと。”
(40代・専業主婦)
“どんな物も処分したくありませんでした。夫個人のものは心の準備ができず、処分に数年かかりました。家具などは軽トラを借りて市の焼却場へ持って行き廃棄しました。思い出が詰まっていたのでとても辛く、焼却場で泣いてしまいました。”
(50代・個人事業主)
遺品を大切にするための厳選と工夫
故人への思いを大切にするための遺品の厳選
もし今後あなたが遺品整理をするなら、もしくは、遺品整理をしていて残したいものが保管しきれないことに悩んでいたら、どのようなものを選んで残せばいいのでしょうか。
遺品は、故人との優しい時間を思い出し、思いを馳せ、忘れず、近くに感じるきっかけとなるものです。
だからこそ、本当に大切なものだけを厳選し、そばに置いておく・見返すことが、結果的に故人への思いを大切にすることに繋がる場合もあるでしょう。
遺品を厳選するために考えたい5つの基準
本当に大切な遺品を厳選する為に、アンケートから導き出されたアイデアをまとめてみました。
基準1・本当に残したいものか、なんとなく捨てられないものか
迷わず、自分が本当に残したいものを優先して選ぶようにすると良いでしょう。なんとなく捨てられない遺品を見て故人を思ってもスッキリしないものを感じませんか。もし感じるなら無理に持ち続ける必要はないでしょう。
また、処分の方法として供養してもらうという選択肢もあります。その方法なら処分できると感じる場合もあるかもしれません。
基準2・故人のもとに還ると考えたときどう感じるか
「自らどうしても残したいとまではいかないが、処分すると考えると耐えられない」という場合も多々あるでしょう。そんなとき、処分や供養することで故人のもとに還るなら、と考えてみるのも一つの方法です。
もし、故人が嬉しそうにしている姿が思い浮かんだら、故人に届くよう思いを込めて手放すのも良いかもしれません。
基準3・今後遺品を見返すことがありそうか
せっかく大切な遺品として残しておいても、ずっと押し入れの奥にしまったまま見ることがないという場合もあるでしょう。
ここで「しまったまま見なくなるならあまり意味がない」と感じるなら、残すべきか再考してもよいでしょう。
逆に「見なくても持っているだけでお守りや宝物のようにあったかい気持ちになる」と感じるなら持っておく価値は十分にあるでしょう。
基準4・その遺品が手元にない場合にも鮮明に思い出せるものか
これも感じ方により判断が分かれます。
本当に思い出深いものなら、そのものがなかったとしても思い出して懐かしむことができるものかもしれません。
それなら「心の中にしまっていて思い出せるから処分しよう」と思える場合もあるでしょう。逆に「それほど大切なものだからこそどうしても持っておきたい」なら、譲れないものとして保管するべきでしょう。
基準5・その遺品が自分のものだったとして親族に残してほしいか
これは是非取り入れたい視点です。自分が故人の立場なら処分してほしいと思えば、それが答えです。逆に、自分なら親族に大切に持っておいてほしいと感じるものなら、残すべきではないでしょうか。
確かにもう故人の意見は聞けませんが、故人の立場で考えれば意外と答えが見つかるかもしれません。
収納スペースを割かない保管のアイデア
実は、収納スペースを確保して保管する以外にも遺品を持っておく方法が2つあります。
方法1・遺品とともに暮らしていく
例えば、自宅の一角に故人の作品を飾る場所を作って、いつも思い出し近くに感じている人がいました。他にも、故人の服を自分が譲り受けて着るなど再利用する人や、着物をカバンにリメイクして使う人もいました。工夫次第で遺品を生活の中で活用することもでき、故人も喜んでくれるかもしれません。
方法2・写真に撮る等デジタル化する
故人の写真やアルバムはもちろんですが、他の遺品の数々も、スマホ・デジカメ等で写真を撮ったりスキャンしてデジタル化することで、自宅内のスペースを圧迫せずに保管できます。
デジタルで残せていれば割り切って処分できるという場合もあるでしょう。膨大な作業と感じたら専門業者に任せるのも手です。
デジタルにすることで見返しやすくなり、文字通り色あせず美しく残せます。それに、思い出深い写真を親族にシェアしたり、お誕生日や命日・法事の際にスライドショーを流して故人を偲んで思い出話に花を咲かせる等、デジタルならではのアイデアも生まれます。
トランクルームが役立つ可能性
収納スペースを広げられるトランクルーム
さて、ここまできて、前述の全てを考えてみたけれどなかなか遺品を減らせない方、そんなに簡単に割り切れないよと感じている方、しぼりこんでもまだまだ遺品が多い・スペースが足りていないという方はきっと多いでしょう。
どうしても大切な遺品があるなら、スペースの制約のために無理して処分する必要は全くないのではないでしょうか。
トランクルームを使えば、自宅の限られたスペースにプラスして、必要な広さの収納スペースを確保し利用することができます。
普段の生活において利用頻度の低い遺品をトランクルームで保管することもできますし、遺品を自宅外に保管することに抵抗があるなら、自宅の荷物を一部トランクルームに移してスペースを広げ、遺品を自宅内に保管するのも良いでしょう。
クールダウンのための場所としての使い方も
今回のアンケートでは、一度トランクルームに遺品を預けて時間をおくことで保管・処分について割り切って判断することができたという意見もありました。悲しみが強く辛くて冷静に判断できない場合や、あれもこれも残しておきたいけれどどうすればよいかわからない場合等に、トランクルームがお役に立てるかもしれません。
“写真等なかなか捨てづらいものは、トランクルームで数か月保管してもらった。時間が経つと、割り切って処理できた。”
(60代以上・無職)
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遺品には大ぶりなもの、重いものも多いものです。トランクルームを利用する際の荷物の搬入・搬出も安心な「お荷物運搬サービス」について、アンケートを交えて特集していますので是非ご覧ください。
アンケートで判明!幅広いユーザーのニーズに応えられるのは「荷物運搬サービス」
遺品整理に関するアンケート結果は第一弾で詳しくご紹介しています。是非ご覧ください。
遺品整理で苦労した人は多数!捨てられないものはみんなどうしてる?
調査結果を受けてのまとめ
今回はアンケート結果をもとに、遺品として残したい大切なものを処分せず上手に残すための方法とトランクルームの活用法についてお話しました。
繰り返しになりますが、どうしても残したい大切な遺品は無理して処分せず大事に持っておくのが一番です。もちろん、それぞれの品が本当に大切なものかどうか吟味してこそ、故人を大切に思うきっかけとなる、真に価値のある遺品を残すことができるはずです。
大切な思い出の品を妥協せず持ち続けるために是非トランクルームを活用していただければ嬉しいです。
【調査概要】
調査対象:トランクルームユーザー調査
回答数:400サンプル
回答期間:2021年12月03日から12月07日までの5日間
調査方法:インターネットによるユーザーリサーチ