遺品整理の体験談から考える生前整理〜生前整理の大切さ編〜
ご親族の荷物整理を通して人生を振り返り、大切な品々や思い出のつまったものを遺していく遺品整理。前回コラムでは、アンケートをもとに遺品整理の金銭的負担を中心とした様々な問題と、トランクルームを活用した負担軽減について考えました。これまでの様々な問題を踏まえて、今回は「遺品整理から学ぶ生前整理」について掘り下げます。生きているからこそ伝えられる・準備できることはたくさんあります。「終活みたいでさみしい」なんて言わないで、生きている証を前向きに残してみませんか。
元気なうちにしておきたい生前整理
近年、生前整理の大切さは、いたるところで話題になっています。しかし、大事なこととは思っていても、緊急性がない場合、忙しい毎日の中で腰を据えて生前整理をするというのはなかなかできないものではないでしょうか。
しかし、遺品整理を経験した方々へのアンケートを分析すると、生前整理がどれほど重要なのかが具体的に感じられるエピソードが山ほどありました。
まずは生前整理でどのようなことをするのか、何から始めるとよいか考えていきましょう。
そもそも生前整理とは?
生前整理とは、自分が亡くなったときに備えて、生きているうちに財産や荷物の整理を行うことです。
遺産相続に関係する印象が強い方も多いと思いますが、日常生活で使っているものの整理や収納に眠っているものの整理等も生前整理の大切なポイントです。割合でいうと、それらのものの整理がほとんどを占めると言っても過言ではないでしょう。
病気等で必要に迫られた場合はもちろんですが、最近では、自分らしく生涯を閉じるための終活の一貫として、体力や時間に余裕があるうちから積極的に生前整理をすることが大切だと言われています。
生前整理が将来の遺品整理をラクにする
生前整理は、今暮らしている生活空間にあるものの全てが整理対象ですから、もちろん作業量は膨大になります。まだ使っているから、まだ先の話だからといって生前整理をしていなければ、気がついた時には体力的に厳しくなってきて、なかなかできなくなってしまうことも多いでしょう。
しかし、生前整理をしていなければ、ゆくゆくはその整理作業の負担を全部、遺されたご親族等が遺品整理として行うことになります。つまり、自分のものでない大量の荷物を整理・判断・処分する状況になり、大変な思いをさせてしまうことになるのです。
自分が亡くなった時に荷物をできるだけ整理された状態にしておき、何を遺したいのかを明確にしておくことは、ご遺族の遺品整理作業の負担を最小限に抑える上で非常に重要です。
遺品整理時の困りごとを踏まえた生前整理
生前整理は、整理をする人が何を残したいかという意志・判断だけでは完結できません。引き継いでくれるご親族等にとって何が必要か・どんなことを知っておきたいか・どんなことが大変かという点を踏まえないと、せっかく生前整理をしても必要なものが見つからず問題が残ってしまったり、残して欲しかった思い出の品がなかったり、逆に、まだ使えそうだからと残されたものがいらないもので困ったりと、的外れな整理になってしまいがちです。
ここでは、生前整理の際に知っておきたい「遺品整理で大変だったこと」と、生前整理にあたって心がけておきたい4つの事項をご紹介します。
1. 荷物の量を減らせば負担も問題も軽減される
遺品整理で大変だったことの第1位は「整理する量が多かった(30.8%)」ことでした。その整理量が起因となり起こった他の問題も薄赤色のグラフで示しています。
「膨大な量の荷物を整理しなければならず、長い時間がかかり、ものを廃棄処分するだけでも大変で費用がかかることもよくある」という声が多く、整理しても整理しても進まない・終わらないと感じたという感想もよく見られました。
このことから、最終的に遺される荷物の多さが遺族の大変さに直接影響することがよくわかります。家族が亡くなる大変な時期に遺品整理の負担まで重くならないように、生前整理の段階で残すものを最小限にすることが大切だといえるでしょう。
まだ使えるからもったいなくてつい残したくなるという方は、ご親族等に、あったら使うものかを聞いてみてください。必要と言われなかったものは今後も使われないと割り切ることであきらめもつき、荷物がかなり減るのではないでしょうか。
“捨てられない時代の人。量の多さが大変でした。”
(30代・自由業)
“とにかく、量が多かったことです。要るか要らないかの判断はもちろん、処分、整理にもかなり時間が掛かりました。”
(30代・自由業)
“本が8畳分ほどあり、、売れるもの売れないものの仕分けが大変でした。”
(20代・主婦)
2.残したいものか処分していいものかを意思表示する
生前整理・遺品整理の大変さは、処理量の膨大さだけではありません。更に大変なのは、一つ一つのものを残すか・処分するかの判断です。
判断の大変さが起因となり起こった他の問題も薄赤色のグラフで示しています。
自分のものをどうするかの判断だけでも難しいのに、遺品整理において亡くなった方の意見を聞けない状態で判断することがいかに大変かは想像に難くないでしょう。
しかも、最終的に処分しないことを選んだ場合も積極的な理由であるとは限りません。処分しなかった理由には次の3つがあります。
【遺品を残すと判断した理由】
- 思い出の遺品として残したい品物である
- 本人が残してほしいかもしれないから捨てるのに踏み切れない
- 写真や日記等、本当は処分したいのになんとなくしづらい品物である
実は1の理由以外はなんとなく処分できないという消極的理由なのです。
もちろん、残すものは今後も保管を続けていくものであり、長期間収納スペースを占領し続けることによる問題も起こります。
生前整理の際には残したいもの・処分していいものをわかりやすく意思表示して分け、その判断においては、ご親族に自分の荷物を保管し続けてもらうことまで配慮することが大切になってきます。
また、自分の残したいものに終始せず、ご親族等が残してほしいものがあるかも話して反映することをおすすめします。
“本人にどれが捨てていいものなのかを聞いておらず捨てるものを選ぶのに苦労しました。”
(20代・学生)
“捨てる判断が難しかったです。自分の物なら今年使ってない物はすぐ捨てれるけど、おばあちゃんの物は思い出がありすぎて整理するのが大変でした。新品の物も多く、捨てるのにかなり迷いました。結局、おばあちゃんの息子や姪も呼んで、一部は引き取ってもらいました。”
(40代・主婦)
“母親の着物や食器類や趣味で作った作品などが多くあり、何を残すかを決めるのが大変でした。”
(60代以上・専業主婦)
3.大切なものがどこにあるか伝えておく
グラフには含まれていませんが「どこに何があるかわからなかった」「必要なものが見つからなかった」という意見も多々ありました。必要なものもバラバラに置いてあるからこそ、大切なものがどこにあるか・何が大切なものかわからないという状況もよくあるようです。
年齢や体調とともに様々な事情で物の配置をきれいにできなくなる可能性はありますが、元気なうちや生前整理時には出来るだけわかりやすい配置に大事なものをまとめられるよう心がけ、いざという時のために、自分だけがわかっている物の配置をご親族に伝えておくことも大切です。
“祖母が亡くなったあとに一人暮らしをしていた部屋の整理をしましたが、物が散乱していて通帳や印鑑など大切なものがどこにあるかわからなくて困りました。”
(40代・介護職)
“不要なものと必要なものがごちゃごちゃで選別が面倒だったこと、手続き上重要な書類等がなかなか見つからなかったこと”
(30代・自営業)
“書類が多く、それがいろんな場所に無造作にあったのですべて調べるのが大へんでした。”
(50代・無職)
4.衛生的な環境を心がける
グラフには含まれていませんが「長い間掃除されておらず不衛生な環境で遺品整理をした」という方も多くいたようです。体調に悪影響があった方も複数見受けられました。
生前整理をしていても、亡くなった後は自宅をご親族等が整理しに入る場合がほとんどでしょう。年齢や体調とともに様々な事情で清掃や整理整頓できなくなる可能性はありますが、元気なうちや生前整理時に、これまでなかなか手をつけられなかった場所をきれいにしておいたり、体力が低下した時にもこまめに掃除しやすい環境を整えておくことで、ずいぶん環境が改善されるはずです。
“手入れが行き届いておらず、汚れていたり崩れやすくなっていたりと触るのに躊躇する物が少なくなかった。”
(20代・アルバイト)
“ちり・ホコリが凄く大変だった。水回りのカビなどがひどかった”
(30代・会社員)
“祖母の部屋を掃除した時、埃が凄く、臭いもあり、整理するのが辛かったです。”
(30代・フリーランスの在宅ワーカー)
整理が大変ならトランクルームの利用がおすすめ
ここまで、遺品整理で起こりがちな問題を踏まえて生前整理の大切さについて考えてきましたが、日々の生活を忙しく送る毎日の中で、生活スペースにある大量の荷物を目の前にして、なかなか手をつけられないのが本音という人がほとんどではないでしょうか。
そして、生前整理をするにも大切なものとゆくゆく処分するものを分けておく収納スペースがなかったり、整理作業をする場所がとれないという方も多いはずです。
そんな時、収納スペースや自宅で整理をするスペースを増やすおすすめの手段としてトランクルームがあります。ここでは、生前整理時のトランクルームの賢い活用法を3パターンご紹介します。
パターン1: よく使うものは自宅に・すぐ使わないものはトランクルームに
日常生活でまだ使うものが多いのに生前整理をするということに抵抗がある方におすすめなのが、めったに使わないものや季節ものでしばらく使わないものをトランクルームに預ける方法です。
なおかつ、預ける際に、今後いるもの・いずれ処分するもの・遺品として残したいものを分けてから収納しておく方法が生前整理のスタートとしておすすめです。特に、季節ものの洋服や家電等はシーズンオフになるタイミングで整理やお手入れをする場合が多いので、その整理時の基準に生前整理の基準を追加するとスムーズにスタートできます。
使用頻度が低いものをトランクルームに預けると、自宅内のスペースに余裕を持つことができ日々の生活も快適になります。もちろん、自宅内の荷物の整理作業も格段にしやすくなることでしょう。
パターン2: 残したい荷物またはゆくゆく処分する荷物をトランクルームに集める
次にご紹介するのは、残したい大切なものと、ゆくゆく処分するものを自宅とトランクルームで物理的に分ける方法です。
具体的には
「子供たちに残したい思い出のアルバムはトランクルームにまとめてすぐ見られるようにする」
「もう読み終わった本だけれど受け継いで読んでほしいから譲りやすいようにトランクルームにまとめておく」
「自分はもう着られないけれど今後受け継いでほしい着物や洋服等をトランクルームに置いておく」
等、残したいものをトランクルームにまとめて、譲る先のご親族が場所を認知できるような状態にしておくとわかりやすくて良いでしょう。
大切な荷物も安全な良い環境で管理できるトランクルームではありますが、思い出の品は手元に置いておきたい方は、逆に、ゆくゆく処分するが今はまだ必要なものをトランクルームにまとめておくのもわかりやすいでしょう。
もちろん、貴重品や日常に使うもの等、自宅でずっと保管し続けるものもありますが、それら以外のものを優先的に整理しておくことで生前整理全体の見通しを立てることや整理したものの引き継ぎが格段にしやすくなります。
パターン3: トランクルームを今後整理したい荷物の一時置き場に
どこから手を手をつけたらいいかわからないという方におすすめなのが、自宅の荷物をまずある程度トランクルームに一時的に置き、少しずつ出して整理する方法です。つまり、トランクルームにあるものを残作業と考えて、どんどん整理をこなしていこうという流れが生まれます。できた部分に次の荷物を入れていき、また整理をこなしていくのを繰り返すことで、自宅全体の生前整理ができます。
自宅に全ての荷物が未着手の状態で置いてある時には途方もなく感じた生前整理も、トランクルームに少しずつ切り分けることで整理がこなしやすくなり、自宅内の作業スペースも広々と取れるのがメリットです。
お荷物運搬サービスをフル活用した生前整理
「トランクルームを使うといっても出し入れが大変で現実的でない」と感じられた方は多いかもしれませんが、そんな時におすすめしたいのがお荷物運搬サービスです。
収納ピットの場合は、全国どこからでもご指定のトランクルームに荷物を運搬・搬入し、逆にトランクルームからご自宅等ご指定の場所にお届けも可能です。つまり、自宅にいながらにしてトランクルームに荷物を運び込むことができ、必要なものを気軽に自宅で受け取れるのです。
他にも、ご親族とトランクルーム利用についてよく情報共有をして、ご契約店舗にご相談いただいた上でのご利用なら、お荷物運搬サービスの生前整理ならではの活用方法もあります。
・トランクルームに預けてある残したい荷物をご親族の自宅等に送る
生前整理が進み、トランクルーム内に残したいものがある程度まとまってもう譲れる状態になったら、お荷物運搬サービスを活用してご親族に送ることもできます。
・ご親族等に整理を手伝ってほしい荷物をご都合のいいトランクルームに送る
高齢や体調の都合等で整理作業が難しい場合や、子供が小さい頃の荷物で本人に判断してほしい場合等、お荷物運搬サービスを活用して、整理を手伝って欲しい方のご自宅に近いトランクルーム宛に配送することができます。
受け継ぐ側のご親族の意見を反映しながら整理ができるので、生前整理がより意味のあるものになるはずです。
調査結果を受けてのまとめ
今回はアンケート結果をもとに、遺品整理で起こりがちな問題を踏まえた生前整理の必要性とメリットについて考え、生前整理におけるトランクルーム活用法についてもお話しました。
まだまだ先の他人事と考えていることも多いかもしれませんが、いざその必要性を感じる頃には現実的に生前整理が難しくなってしまい、全て遺品整理に頼らざるを得ないこともよくあることです。そして、膨大な量かつ本人不在の遺品整理がいかにご親族等に大変な負担となるかは、今回よくおわかりいただけたかと思います。
生きているからこそ、ご親族等とお互いの思いを話し合いながら、大切な「生きた証」を前向きに残していくことができます。そして、年齢を問わず、命がいつ終わってしまうかは誰にも分からず、生前整理が早すぎることはないのかもしれません。
生前整理について考え実践してみることは、生きていく上で本当に必要なものを意識し、最適かつ快適な生活を送ることにもつながります。命の終わりという重い意識からは一旦離れて、もっと気軽な気持ちで生前整理を始めてみるのも良い方法なのかもしれません。
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遺品整理について、これまでのコラムはこちらです。ユーザーアンケートには実に心動かされるエピソードや役に立つ経験談がいっぱいありますので是非ご覧ください。
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【調査概要】
調査対象:トランクルームユーザー調査
回答数:400サンプル
回答期間:2021年12月03日から12月07日までの5日間
調査方法:インターネットによるユーザーリサーチ