【遺品整理⑥】遺品整理の体験談から考える生前整理〜残しておきたくないもの編〜

2022.06.07

ご親族の荷物整理を通して人生を振り返り、大切な品々や思い出のつまったものを遺していく遺品整理。前回コラムでは「遺品整理の経験談からわかった生前整理で残しておきたいもの」について掘り下げてきました。今回は、逆の発想で、生前整理で残しておきたくないものについて考えていきます。気になりながらも整理を後回しにしがちなものから、意外な盲点まで、遺品整理でわかった「残されて困った」「処分したくてもしづらった」という意見を踏まえて、考えておきたいポイントをまとめてみました。

家族が捨てられないものは本人が残してほしいもの?

前回のコラムでは、生前整理で自分の残したいものを意思表示し、家族の意見も踏まえる大切さについてお話してきました。

自分が何を残したいかを伝えることで、残された家族の遺品整理の負担が格段に軽くなり、家族が何を思い出として大切にしているか理解することで、本人も家族も納得できる遺品整理が可能になることがお分かりいただけたかと思います。

(前回別記事としてご紹介しておりますので、もし詳細を読まれたい方はこちらからご覧ください。)

今回は、生前整理で残しておきたくないものを考えていきます。

前回お話した「自分が残したいものと家族が捨てられないと感じるものには大きな差異がある」という前提と表裏一体ですが、ここで大切なことは、

自分が残したくないものと家族が捨てたいと感じるものには大きな差異がある

自分がなんとなく残しているものが家族にとって負担となることもある

という2点を意識して考えていくことです。

例えば、本人からしたら微妙な表情で写っているために残して欲しくないような写真でも、家族から見れば元気な頃の大切な姿として捨てられないと感じる場合も多々あるのです。

今回整理していくにあたっては、3つの判断基準をもとに進めていくのがおすすめです。

  1. 自分が残しておきたくない自分は整理・処分する
  2. いつかやろうと思って整理・処分していなかったものに手をつける
  3. 自分が残された家族の立場なら嫌なもの・判断に困るものは整理・処分する

残したくないものを処分するのも意思表示

残したくないものを具体的に考えていく前に、改めて、遺品整理を経験した方が大変だったことは何か確認しておきましょう。残したいものを考えたときとは注目する視点が変わってきます。

遺品整理で大変なことは様々ですが、今回、赤く色付けした項目は、本人が残したくないものを意思表示または整理処分することで負担が格段に軽減できる部分です。また、生前整理で進めておくことで結果的には遺品整理時の整理量とゴミの量、それらにかかる時間も軽減されるはずです。

「残したくないものを残さない」ことも、何を大切に残したいかと同じくらい大切な意思表示です。そして、その意思表示をするために必要なのは、実は「まだすぐ亡くなるわけじゃない」「そのうちすればいい」という意識を捨てることなのかもしれません。

つまり、多くの人にとって、残したいものを考えていく時よりも重い腰を上げなければならないことかもしれません。

家族に整理・処分させる負担を減らそう

 

遺品整理をするとなったとき、その整理量が膨大であることは、遺品整理で大変だったことのアンケートの第1位であることからもよくわかります。しかし、この整理量は、遺品整理・生前整理という前段階で大きく減らせる可能性があります。それは、現在の生活スタイルに合わせて荷物を最適化するという方法です。

具体的な例を挙げてみましょう。

・子供が独立・結婚した後、子供のいた部屋等を片付けて、子供が帰省した時に最低限必要なものと思い出の品だけをコンパクトにまとめておくこと

・配偶者が亡くなった際、気持ちの整理が少しずつ落ち着いたら、配偶者の遺品整理をして、残された家族が暮らしやすいよう環境を整えること(もちろん故人の居場所を残すという判断があるならそれも良いでしょう)

・自分の親世代やそれ以前の遺品整理を終わらせておくこと

自分の現在の生活に合わせて環境が最適化されていないままだという方もきっと多いのではないでしょうか。

例に挙げたような家族人数の変化がなくても、子供が進学・就職すればそれ以前の荷物を整理したり、転職・退職時には使わなくなったものを整理する、季節に合った荷物を入れ替え、古いものは処分する等「今の生活に合った荷物を整え続ける」ことの積み重ねや日々の整理が、ひいては生前整理・遺品整理をスムーズにし、整理の負担・残される家族の負担を軽くすることにつながるのです。

時間や体力が追いつかず簡単にはいかない、と思う方は、家族等、誰かに手伝ってもらえるよう考えるチャンスです。近年では、家事や整理を専門的な視点でサポートしてくれるサービスも豊富ですから、家族に頼れない場合は選択肢として考えるのも良いかもしれません。

自分の見られたくない面は残さない工夫を

具体的にどんなものを残さないようにしていくのか考える前に、遺品整理でどのようなものが捨てられなかったのかを把握しておくと、参考や気づきとなるかもしれません。

前回のコラムとも重複しますが、これらを分類してみると3つのポイントに当てはまるものがほとんどであり、ものを残すか・残さないかを考える際に重点的に考えたい部分だと言えるでしょう。

 

  • 本人にしか残せずもう生み出せないもの                   例: 写真・筆跡・声・作品等
  • 本人が大切にしていたもの・本人を思い出すもの               例: 愛用していた服や時計等の身につける小物、趣味のもの等
  • 思い出の品                                例: 一緒に買った旅行のおみやげ・記念の品等

これらにおいて、自分としては「これは別にいらない」「これは気恥ずかしいから残したくない」「せっかくだからきれいに撮れた写真の方を残したい」というような場合はたくさんあるはずです。

シンプルにまとめると「後から見られたくない自分は残さない」「自分が大事だと思わないものは残さない」という基準があれば、個々の荷物の要・不要を必要以上に迷うことが減るのではないでしょうか。

残したくないもの①:手続残務や定期購入

手続きは残さず定期購入は最小限に

税金・保険等の公的な手続きは複雑で煩雑なものですが、連絡・手紙が来たら原則すぐ対応するようにし、万一の時に家族が把握できていない未手続・未納のものがないようにしてトラブルを防ぎましょう

読みづらさ・理解のしづらさ・対応の大変さを頻繁に感じるようになったら、家族等に協力を依頼して一緒に手続きする環境を整えるのも良い方法でしょう。対応がスムーズにできるだけでなく、家族に状況を把握してもらう意味でも有効で、時には高齢者への詐欺の請求を見抜ける等の嬉しい効果もあるかもしれません。

また、亡くなったあとのよくあるトラブルとして、家族の把握できていない定期購入の滞納・支払・解約の問題があります。生活していく上で必須のものはもちろん残す必要がありますが、必要最低限にとどめ、家族に知ってもらうようにすると良いでしょう。

例えば、あまり効果を感じていないが何となく続けている健康食品・化粧品や、読みづらい・読みきれない新聞、飲みきれない牛乳配達等、もしも必要性が低いのに習慣や惰性で続けている定期購入があれば、この機会に見直してみるのも良いかもしれません。

(もちろん、やはり必要な場合もあるので慎重な判断が必要です。)

また、家族に設定してもらったものを含め、携帯電話やインターネットでの月額サービス等も必要最低限に見直すと良いでしょう。

さらに、通販やクレジットカード等の分割払い等もできる限り避け、必要な場合は長期化しないよう心がけることで、万一の際支払いの滞りを防止できます。

残務や支払いが継続しているものの情報をまとめて家族に伝える

可能な限りの手続き関係を済ませ、定期購入等を必要最低限に見直せたら、税金・保険等の現在の残務や、解約が必要となる契約の情報をまとめ家族と共有できる仕組みを整えましょう。

銀行の通帳・カードや保険証券等とともにひとまとめにして、万一の場合必要なものがすぐわかるようにしておくと安心です。契約情報や、インターネット経由の場合ID・パスワードの情報も添えておくとスムーズでしょう。

もちろん、防犯・安全に配慮して保管できるよう、各家庭で工夫が必要です。

 

User’s Voice

“(定期購入していた)健康食品や化粧品について、料金の支払いの有無、返品が可能かなどをメーカーに問い合わせて完了させるのが大変でした。”
(30代・クリエイター)

“亡くなった本人だけが知っているサブスクやネットサービスの契約状況、パソコンでのやりとりなどの把握が意外と大変でした。携帯電話の解約も意外と手間取りました。”
(40代・会社員)

“家を建てたのが亡くなった祖父だった為、家の注文時の書類がどこまで取っておけばいいのか分からず調べながらの処分で時間がかかりました。”
(20代・飲食店)

“年季の入った金庫がみつかり、カギはあるけど、ダイヤルが難しく、カギ専門の業者に頼まないと開けられませんでした。中からは加入していたことを知らなかった保険証書が見つかり、手続きが大変でした。”
(30代・パート)

“物などは処分するだけでよかったが、お金関係が大変だった。口座の凍結や保険やらの手続きで色んなところに走り回らされたので。”
(20代・製造業)

 

残したくないもの ②:後々に見て欲しくないもの

残されるとイマイチと感じるものは自分で処分

遺品整理時に捨てられなかったものの第1位は写真・アルバムでした。大切な写真でなくても、例えば目をつむって写ってしまった写真や、写りの悪い写真、人が写っていない写真でさえ、残された家族にとっては「処分するのはしのびない」と感じて残し、かさばってしまう傾向にあることがわかりました。

しかも、本人が気に入らない写真であっても、遺影の写真用に引き伸ばされ、代々の家に飾られる可能性も否定できません。

だからこそ、気に入っていない写真や不要な写真はできる限り自分で判断・整理・処分しておくことをおすすめします。

とはいえ、膨大な写真の整理は本当に大変なものです。家族等に協力してもらって一緒に整理するのもいいですね。残った大切な写真はスキャン・デジタル化・プリントしておくのもおすすめです。

同じように、筆跡や文章・日記・手紙等も遺品整理で残される傾向にありました。後から見られると気恥ずかしかったり、見てほしくないものがあれば、処分もしくは残された人の誰にも見られないようにする工夫が必要でしょう。

遺品整理時に家族を落胆させ悲しませないために

遺品整理のアンケートでは、家族が知らなかった、人には言えない趣味を持っていることが判明したり、悲しい秘密が分かったり、処分に困るような所持物が見つかって、がっかりしたり、故人に対し良くないイメージがついてしまったという話も多々見られました。

一般的にも、例えば、携帯を解約するために見たところ不倫が判明したという話や、日記等に書かれた悪口を見かけてしまった話等、もう故人に確認できないことで、喜ばしくないものが見つかることもあると言われます。

本当はそのような事実がないことが一番かもしれませんが、何より、自分を思って遺品整理をしてくれる家族を落胆させないようにしたいものです

「立つ鳥跡を濁さず」の気持ちは忘れずに、できることはしておきたいものですね。

 

User’s Voice

“写真。故人が写したのかどんな思いがあったのか、知らない人が写っている写真も捨ててよいものか悩み捨てられなかった。”
(40代・福祉施設職員)

“日記と古い携帯電話。捨てようにも思い入れがあったのかな?と思い悩みました。”
(30代・自営業)

“AVのDVDがあって家族が気まずくなった”
(30代・介護士)

“故人の知らない趣味がわかってしまったなど、故人が他者へ教えたくないであろうことが遺品によって知ってしまったこと。”
(30代・無職)

 

残したくないもの ③:もう使えず思い入れもないもの

使えなくなったものを残していませんか

そのうち直そうと思っている壊れたもの、またいつか使うかもしれないと思った服や化粧品、少しの賞味期限切れならなんとかなると思った食料品…なんだかもったいなくて処分できずそのままになっているものはありませんか

それらは本当に今後使うことがあり、本当に必要なものでしょうか。

実はそのようなものが、家族の遺品整理時に大きな負担となることがあります。作業的にも衛生的にもつらいものとなる場合もあるのです。

使わないものはこまめに捨てることが生前整理において大切になることを心に留めておきたいものです。

もちろん、ゴミが出たらすぐ捨てて、体調が良い限りはこまめに掃除をすることも非常に重要です。

 

User’s Voice

“賞味期限切れの食品や様々な書類関係の整理や処分が大変だった。”
(30代・会社員)

“化粧品類で瓶など容器に入っているものの処理が大変だった。”
(40代・パート)

“祖父の遺品を整理したのですが、いつ漬けたの分からない梅干しや、さびてしまっていて使えるのか分からない小銭、散弾銃の玉などが出てきてしまい、処分の仕方に困った。”
(20代・専業主婦)

“故人が元々壊れているものや粗大ごみなど不要なモノを捨てずにとっていたのでゴミ出しが大変でした。”
(20代・フリーター)

 

トランクルームの活用が生前整理の自由度を上げる

ここまで、生前整理について考えてきましたが、毎日の生活を送りながら、限られたスペースで整理・収納がなかなかできないという人がほとんどではないでしょうか。

そんな時には、トランクルームを利用することで収納スペースや自宅で整理をするスペースが増え、生前整理もはかどりやすくなります

例えば、トランクルームに使用頻度の低い荷物を一時置きすることで、自宅のスペースを広くとって作業することができるようになります。

また、これから作業していきたいものをトランクルームに一時置きして整理していくのも良い方法です。

生前整理、特に、処分を進めていくものの整理は、隅から隅まで一つずつ確認して判断する必要があるので、効率的に進められる十分な広さのスペースがあるかで作業時間と質が大きく変わります

とはいえ、荷物の出し入れが面倒・大変と感じる方もいらっしゃるでしょう。そんなときにはお荷物運搬サービスを活用することで、自宅にいながらいつでも荷物の出し入れと配送が可能になるので、近くにトランクルームがない方やご高齢の方にも安心です。

調査結果を受けてのまとめ

今回はアンケート結果をもとに、遺品整理の経験談を踏まえて「生前整理で残しておきたくないもの」について考え、トランクルームを活用した整理のメリットについてもお話しました。

「自分が亡くなった後に残したいと思わないものは残さない」ことは、自分の人生を美しく締めくくる上で非常に大切なことです。

そのためにはまず日々の生活の中でスッキリと荷物を整え、現在の生活に最適な状態にしておくことが前提であり、過去の荷物についても先送りせずできるときに整理していくことが重要です。

重い腰を上げて始めなくては、という方も多いかと思いますが、そんな時、トランクルームを活用して、生前整理の開始とともに日々の生活をもっと快適に過ごすきっかけにすれば、整理が前向きに楽しく進められるかもしれません。

遺品整理・生前整理について、これまでのコラムはこちらです。ユーザーアンケートには実に心動かされるエピソードや役に立つ経験談がいっぱいありますので是非ご覧ください。

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【調査概要】

調査対象:トランクルームユーザー調査
回答数:400サンプル
回答期間:2021年12月03日から12月07日までの5日間
調査方法:インターネットによるユーザーリサーチ

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